赤、青、ピンクにオレンジ。
多種類の草木で埋め尽くされた庭は、息を飲むほど美しい。

 色付いたばかりのプラタナス。

秋を彩る花々が今を盛りと咲き誇り、馥郁(フクイク)と芳香を放っている。

建物の裏には一面のコスモスが咲き乱れ、其処から立木の続く散策路へと続いていた。

「凄い…!」

 思わず感嘆の声が洩れる。
目を奪われて立ち尽くしていると…少し離れた所から、一慶がボクを呼んだ。

「何してんだ、置いてくぞ!」
「ごめん。今行く!」

 ボクは小走りで、彼の元に向かう。