人知れず先を危ぶむボクの心中を察したのか…それまで静観していた遥が、徐ろに口を開いた。

「向坂家は《土の星》…つまり、土地に纏わる霊動に影響を受け易いんだ。『土』とは、生物が最後に還る場所だろう?だから《土の星》の行者は、霊的な作用を受け易いと言われているんだよ…良くも悪くもね。だけどそれは、決して恐ろしい事ばかりじゃない。六星の首座は──」

 そう言ってボクを覗き込むと、遥は覚悟を促すかの様に、厳粛な面持ちで言った。

「六星の首座は、それがどんなに特異な行者であろうと、己が手足の様に自在に使いこなさなきゃならないんだ。一座の全てを完全に掌握してこその《首座》だよ。」

 遥の言葉は、重く深くボクの心に響いた。

一座の全てを掌握する…。
そんな事が出来るのだろうか、ボクに?
否、しなければならないのだ。
それが《首座》の役目ならば。