その時である。

「なんだよ、おめぇら!全員ここに居たんじゃねぇか、狡いぞ!? 俺も仲間に入れろ!」

突然スラリと襖が開いて、和やかな雰囲気をブチ壊す様な、下品な大声が響き渡った。嫌な予感がして振り向けば…

「烈火──。」
「探したぜ、ハニー!」

 例の調子で、ズカズカと火邑烈火が入って来る。首座の私室に、何の躊躇も遠慮も無く踏み込んで来る處ろが、如何にも彼らしい。

これを見た遥は、あからさまに不機嫌な顔をした。

「誰が『ハニー』やねん?! 気易いんじゃ、この妄想人魂男が!」

「なんだよ。相変わらず酷い言い種だな、遥。そう邪険にすんなって。俺ら、同い歳だろ?仲好くしようぜ。」

 …烈火は、少し酔っている様だった。

遥の隣にドッカと座り込むや、馴れ馴れしく肩を組む。遥は、それをすげなく振り解いて苛烈に言い放った。

「それが気易いっちゅうんじゃ!! 触んなや!なんで俺がお前と、つるまなあかんねん?どつき回すぞ、ボケ!」

 遥の人格は、完全に崩壊している。
なのに烈火は、お構い無しだ。
座卓の上のチーズケーキを目敏く見付けるや、素早く手を出しバクリと頬張る。

「うまっ!うっわ、何これ!? めちゃめちゃ美味ぇ!!」