「あれだけ派手なパフォーマンスを打ったんだ。早々に腹を繰るしかねぇだろう?今ここで『やっぱり辞めます』なんて言ってみろよ。お前、ただじゃ済まないぞ。」

「ボク…そんなに偉そうだった?」
「うん。」
「偉そうだった。」

 苺と一慶が即答する。
そうか、偉そうだったのか…。

どうやらボクは、瞳が金色になると同時に、人格まで変わってしまうらしい。まるで酒に酔った時の様に、矢鱈と気が大きくなってしまうのだ。

「どうしよう…ボク、生意気な奴だと思われちゃったかな?」

 いや。生意気なら未だしも、だ。
嫌われたり疎まれたり敵意を抱かれたりしたら、今後の仕事に支障が出るのではなかろうか…?

「あぁ、その辺は大丈夫よ。皆それなりに、アンタを認めているわ。その直情径行な人格も含めてね。」

「…それなりに?」
「それなりに、よ。」

 …何やら微妙な評価だが。
認められていないよりは、マシなのかも知れない。

「ところで…ねぇ、遥は!? さっきから姿が見えない様だけれど?」

 ボクは、ふと気付いて訊ねた。
どうも違和感があると思ったら、いつも傍らにある筈の、あの天真爛漫な笑顔が無い。

すると、一慶が手短に説明してくれた。

「遥は今、鍵爺と一緒にいる。」
「鍵爺と?」
「あぁ。積もる話があるんだろう?」

 積もる話…??
果たして、そうだろうか?
積もる『恨み』なら、山程ありそうだけれど。