総代の一人が詰め寄ったが、ボクは気にしなかった。自分の選択は間違っていない。そう確信している。

 すると──。《土の星》の向坂玲一が、厳しい顔で異を唱えた。

「貴方の理想は解ります…ですが、首座。理想は、あくまでも理想に過ぎない。六星一座の力を以てしても…どんなに長い年月を掛けても、我々人類は、天魔を浄化する事が出来なかった。それを在るべき場所に還すなど…果たして、そんな事が可能でしょうか?況してや、第六天魔相手に??」

 皆、同じ考えの様だった。ボクの思惑を正確に理解している者は少ない。

 行者である事に慣れてしまった彼等には、足元の問題が見えていないのだ。でも、素人のボクには、それが見える。

 不信感も露わに詰め寄る総代達。
抗議の眼差しを一身に受けて、ボクは慎重に口を開いた。

「皆さんは、何の疑問も持たないのですか?何故、天魔が現世に顕れるのか…。」

「天魔が顕れる理由、ですか?」

 訝しげに問い返したのは姫宮庸一郎である。彼は、ボクの質問に少なからず興味を持ってくれた様だ。

束の間考えを巡らせてから、慎重に言葉を選んで答えてくれる。