「あぁもう!一体何処なんだよ、此処は!?」
不安と苛立ちの中で、ボクは叫ぶ。
綺麗に整った街並みは、まるで迷宮の様だった。
もう随分歩いた筈なのに、なかなか目的地に辿り着けない。人に道を尋ねたりもしたが、説明がマチマチで、さっぱり要領を得なかった。
見知らぬ土地をさ迷う孤独が、益々ボクを追い詰める。最早、自分が何処に居るのかさえ解らない。
それに、この茹だる様な暑さ…。
思考力は衰える一方だ。
ボクを導く唯一の羅針盤は、叔父が描いた適当極まりない路線図と、下手くそな手書きの周辺地図だけ…。これがまた剰りにも御粗末で、満足に読み解く事も出来ない。
今更助けを呼ぼうにも、モバイルフォンは充電切れ。明らかに、ナビゲーションアプリの過剰使用が原因である。
唯一の助けの綱も、こうなれば無用の長物だ。救援ツールを失ったボクは、文字通り、八方塞がりである。
それにしても暑い。もう限界だ。
肩に担いだリュックが、一際重く感じられる。
──いけない。
意識が遠くなってきた…。
足が縺れる。目が霞む。
熱中症という病の恐ろしさを、ボクは、今更ながらに痛感していた。
このままでは死んでしまう。
まるで、夏の陽に焼かれて干からびてゆく、哀れな蛙の様に──。
妄想が、気力の限界を超えた一瞬。
急な眩暈に襲われて、ボクはヘナヘナと座り込んでしまった。そのまま、ぐったりと倒れ込む。
酷い頭痛と吐き気。
目の前に、きらきらと金の粉が舞っている様な錯覚が起きる。
これはいけない。熱中症の典型的な症状だ。助けを呼ばなければ、歩く事も出来ない。
そう頭では思うのに、上手く声が出せなかった。喉の奥が引っ付いたように固着して、悲鳴ひとつあげられない。
朦朧とする脳内に、繰り返す言葉は唯一つ。
暑い…暑い…
あつ…い……
…………
そうして。思考が止まると同時に、ボクの自我は闇に墜ちた。
不安と苛立ちの中で、ボクは叫ぶ。
綺麗に整った街並みは、まるで迷宮の様だった。
もう随分歩いた筈なのに、なかなか目的地に辿り着けない。人に道を尋ねたりもしたが、説明がマチマチで、さっぱり要領を得なかった。
見知らぬ土地をさ迷う孤独が、益々ボクを追い詰める。最早、自分が何処に居るのかさえ解らない。
それに、この茹だる様な暑さ…。
思考力は衰える一方だ。
ボクを導く唯一の羅針盤は、叔父が描いた適当極まりない路線図と、下手くそな手書きの周辺地図だけ…。これがまた剰りにも御粗末で、満足に読み解く事も出来ない。
今更助けを呼ぼうにも、モバイルフォンは充電切れ。明らかに、ナビゲーションアプリの過剰使用が原因である。
唯一の助けの綱も、こうなれば無用の長物だ。救援ツールを失ったボクは、文字通り、八方塞がりである。
それにしても暑い。もう限界だ。
肩に担いだリュックが、一際重く感じられる。
──いけない。
意識が遠くなってきた…。
足が縺れる。目が霞む。
熱中症という病の恐ろしさを、ボクは、今更ながらに痛感していた。
このままでは死んでしまう。
まるで、夏の陽に焼かれて干からびてゆく、哀れな蛙の様に──。
妄想が、気力の限界を超えた一瞬。
急な眩暈に襲われて、ボクはヘナヘナと座り込んでしまった。そのまま、ぐったりと倒れ込む。
酷い頭痛と吐き気。
目の前に、きらきらと金の粉が舞っている様な錯覚が起きる。
これはいけない。熱中症の典型的な症状だ。助けを呼ばなければ、歩く事も出来ない。
そう頭では思うのに、上手く声が出せなかった。喉の奥が引っ付いたように固着して、悲鳴ひとつあげられない。
朦朧とする脳内に、繰り返す言葉は唯一つ。
暑い…暑い…
あつ…い……
…………
そうして。思考が止まると同時に、ボクの自我は闇に墜ちた。