部屋に入るなり無邪気に叫んだのは、《風》の当主が連れて来た双子の兄妹だ。

大きな瞳にツンとした唇。
二人とも、とても綺麗な顔立ちをしている。
中学生…いや。小学五、六年生くらいだろうか?

男の子は、あんぐりと口を開けて室内を見回し──女の子は、浮遊している霊に触れようと、ピョンピョン飛び跳ねていた。

 大はしゃぎで飛び回るその姿が微笑ましくて…ボクは思わず吹き出してしまう。

すると…

「子供達には…視えているらしいな。」

《風》の当主が、苦々しく眉を潜めた。

「俺にも視えるぜ。」

烈火が言うと──

「私も…視えます。」

篝がオズオズと手を挙げる。

「彼等だけではありません。《金の星》の次期四天達にも視えていますよ。」

 ボクの言葉は、更に皆を驚かせた。

「…どういう事だ?」

「一体何が視えている??」

「何故、我々には見えないのだ?」

 色めき立つ大人達──。

術の達者な者ほど、『視えない』ショックが大きい様だ。…とても、動揺している。

「今、ボク達が視ているものを、皆さんにも御覧にいれます。蒼摩──お願い。」

 目配せをすると、彼は静かに頷いた。
彼には出来る。此処にいる者全員に、この光景を視せることが──。

 皆が注視する中。蒼摩は、静かに案座して印を結んだ。