天魔──人の世を惑わす、禍星。

漸(ヨウヤ)く話が繋がった。
でもそれは、全く思いも掛けない方向に枝葉を拡げている。

…つまり。

六星一座は、歴史上の人物達を敵に回して闘うのか? あまりにも壮大な話で、理解が追い付かない。

「天魔の恐ろしさは、六星行者なら、誰もが見聞きして知っている。だが、奴らの忌むべき点は、その魔力の強さだけじゃねぇんだ。」

「どういう事、おっちゃん?」

「天魔は、一度この世に現れると、次々に怨霊を取り込み従えていく。そうして悪霊の軍団を形成し、遂には、この国を滅ぼすと言われているんだ。」

「そ…そんな強い悪霊を六星一座は、どうやって倒すの?何か対抗策があるんだよね!?」

 思い付くまま疑問を投げ掛けると、意外にも鷹取が、それに答えてくれた。

「天魔は凄まじい怨念を持つが故に、浄める事も、成仏させる事も出来ないと言われております。天界人ですからね。調伏(チョウブク)するには、天魔を依代(ヨリシロ)に宿らせ、封じるしか術がない。しかし…」

 鷹取の言葉を、蒼摩が引き継いだ。

「依代には、有効期限があるんですよ。」
「有効期限?」