ともすれば大きく前に傾ぎそうになる体を、辛うじて両手で支える。
気力を使い果たしてグッタリしていると…不意に、大きな手が差し延べられた。いつの間に席を立ったのか、一慶がボクの脇に控えている。
「立てるか、薙?」
「うん…ありがとう、一慶。」
支えられる様にして、ボクは、ゆるゆると立ち上がった。
疲れた…。
《実験ショー》は、これでお終いなのだろうか?もう勘弁してくれ。
一方。
鍵爺は、総代衆相手に、頻(シキ)りに熱弁を奮っていた。
「どや、鷹取?総代衆は、これでもまだ、薙を当主と認める気はないんか?」
鷹取は、苦渋に満ちた顔で答える。
「いえ…彼女の力の程は良く解りました。大変に素晴らしいものです。だがやはり、行を積んでいないのは大きなマイナスだ。力ばかりが先んじていて、まだ充分な制御が出来ておられません。《金の星》の当主として…やはり、このままでは。」
「アホか!行など、これから幾らでも積めばえぇやろ?! 当代の六星にはな。薙という神子の首座が、どうしても必要なんや!!」
激昂する老人の迫力に、一同は困惑した。
鍵爺は、焦っている。
『何か』をとても恐れていて──それで、ボクを首座にしようと躍起なのだ。
天解の術が遣える様になって、ボクは初めて、その事実を知った。
鍵爺の魂は、これから起こるであろう深刻な事態の事で、いっぱいだった。ボクに対する尋常でない執着も…全ては、その所為なのだ。
気力を使い果たしてグッタリしていると…不意に、大きな手が差し延べられた。いつの間に席を立ったのか、一慶がボクの脇に控えている。
「立てるか、薙?」
「うん…ありがとう、一慶。」
支えられる様にして、ボクは、ゆるゆると立ち上がった。
疲れた…。
《実験ショー》は、これでお終いなのだろうか?もう勘弁してくれ。
一方。
鍵爺は、総代衆相手に、頻(シキ)りに熱弁を奮っていた。
「どや、鷹取?総代衆は、これでもまだ、薙を当主と認める気はないんか?」
鷹取は、苦渋に満ちた顔で答える。
「いえ…彼女の力の程は良く解りました。大変に素晴らしいものです。だがやはり、行を積んでいないのは大きなマイナスだ。力ばかりが先んじていて、まだ充分な制御が出来ておられません。《金の星》の当主として…やはり、このままでは。」
「アホか!行など、これから幾らでも積めばえぇやろ?! 当代の六星にはな。薙という神子の首座が、どうしても必要なんや!!」
激昂する老人の迫力に、一同は困惑した。
鍵爺は、焦っている。
『何か』をとても恐れていて──それで、ボクを首座にしようと躍起なのだ。
天解の術が遣える様になって、ボクは初めて、その事実を知った。
鍵爺の魂は、これから起こるであろう深刻な事態の事で、いっぱいだった。ボクに対する尋常でない執着も…全ては、その所為なのだ。