──そう言えば。
初めて会った日に苺が言っていたっけ。

『魂を視れば判るじゃない』

あれは、こういう意味だったのか。

 生き物の魂魄(コンパク)には、生命の記憶が刻み込まれている。それを、こうして見詰めるだけでいいのだ。

読むのではなく──『視る』。
聞くのではなく──『伝わって来る』。

祈りを込めて意識を集中するだけで、その人の本質が判る。

これが、天解(テンゲ)の術なのだ。

 こんな形で術を修得する事になるとは、夢にも思わなかった。 自分でも知らぬ間に、自然にそれを遣いこなしている。

 これは、《金目》の効果なのだろうか?
自分が自分でなくなった様だ。
体の奥底から、魂の深奥から、言い知れない力が沸いて来る。

 法術の天才だと云う、金の神子。
今のボクは、全てを理解している。

自分の中に眠っている力が、どんなものなのか──それを、どう遣えば良いのかを。