「つまり…どういう事なのよ?」

 不機嫌な顔で、苺が烈火を睨《ね》め付けた。烈火も負けじと睨み返す。

「どういうってそういう事だよ。あぁ糞!痛ってぇじゃねぇかよ、おめぇら!! 多勢に無勢か!? ふざけんなって!」

 殴られた頭を擦りながら、不貞腐(フテクサ)れた様子で口を尖らせる烈火。

倒れて直ぐに揺すり起こされた彼は、先程から、苺と遥の執拗な質問責めにあっていた。

「──要するに。今日は、六星の当主全員が集まる事になっているんだね?」

 烈火の説明を要約して確認すると、彼は『まぁな』と頷き、畳の上に胡座(アグラ)を組んだ。

「…つーか。招集掛けたのは《金の星》だろう?昨日、正式に招令が届いたぜ?」

──《招令》?

「招令とは、首座からの招集命令の事よ。必要に応じて、各家に書面で送られるの。通常の連絡事項は、メール配信されるけれど…重要な集まりは、専(モッパ)ら書面で知らされる事が多いわね。中でも、各家の当主への召集命令は、最優先事項なの。」

透かさず、苺が解説する。
その傍らで、遥が渋い顔で腕を拱(コマネ)いた。

「問題は、『どうして一座が集まる必要があるのか』という處(トコ)ろだよ。嫡子審議会は通常、非公開で執り行う筈なのに…。総代会の奴等、一体どういう魂胆で──」

「そこまでは知らねぇな。逆に、こっちが訊きたいぜ。なんで俺等まで狩り出されたのか、意味解んねぇ。…ま。薙に会えるなら、俺は別に構わねぇんだけどさ。」

 「寧(ムシ)ろ大歓迎!」と付け足すと、烈火はボクを振り向いて、パチリと片目を瞑った。序(ツイ)でに、投げキスまで放られる。

ボクは、それ等を華麗にスルーして居住まいを正した。コホンと一つ咳払いをすると、場の空気を変える様に苺を振り返る。