「何をしたの、今?」

 半ば虚ろに、ボクは訊ねた。

祐介は、頻(シキ)りに何事か繰り返していたが…それで、ボクの体が劇的に変化した様子は無い。

 ──ただ。
全身が、鉛の様に重く感じた。

長い間泥に浸かっていたかの様な、ダルさと疲労感。眉間とこめかみが、ズキズキと痛む。

 グッタリしながら額を押さえると、傍らに控えていた氷見が、然り気無くボクを介助して、ベッドに寝かせてくれた。

「お疲れでしょう?」
「氷見…」

「お休みになれば、直ぐに治まります。急激な霊圧の変化に、お身体が附いていけなくなっているのです。」

「霊圧の変化?」

「はい。祐介さまの《霊縛法》に依(ヨ)り、雑多な霊の類が薙さまから離れたのです。これで、薙さまの魂魄(コンパク)に掛かっていた負荷が、無くなりました。今は、その霊圧の変化に、体が慣れていないだけです。」

「ごめん…何を言っているのか、良く…」

「そうで御座いましょう。簡単にご説明しますから、聞き流して下さって構いません。お気付きじゃないでしょうが…薙さまは、無意識の内に強い霊波を放っておられます。」

「え、ボク!?」