全ての窓のカーテンを閉め、病室のドアに鍵を掛ける。…何をする気だろう?少し怖い。

 祐介は、白衣を脱いでベッドに放り上げると、ブラウンのシャツの両袖を捲った。

ボクを目の端に見ながら、紺色のネクタイを指先でクイと緩める。その目がまるで氷の様で…ボクはゴクリと喉を鳴らした。

「怖い?」

 訊ねられて、コクンと頷く。
見透かされた動揺は嘘じゃない。

 一体、何をされるのだろう。
霊縛って何??…封じるとは?

意味深長な単語が妄想を膨らませる。
恐怖と不安で、胸が押し潰されそうだ。
…まるで、注射をされる直前の子供みたいに。

「何をするの?」

 不安で堪らないボクの質問には答えずに、祐介は小さく微笑みを返した。

「大丈夫…すぐ済むからね。」

 宥める様に頭をポンと叩かれたけれど…本当に大丈夫なのだろうか?多くを語らない思わせ振りな態度が、却って不安を煽る。

「薙、こっち向いて座れる?」
「うん。」

 コクリと頷くと、祐介は然り気無く手を添えてボクを抱き起こした。そのままゆっくり体を回して、ベッドに腰掛ける様に座り直す。

「深呼吸をして、合掌して。」
「え?」