「ゴメンね。本当に大丈夫?どこか痛めていない??」

 ボクは、改めて謝罪をしたが──。

「………。」

女の子は驚きのあまり、声が出ない様子だった。大きく目を見開いている。病衣を来ている處ろを見ると、どうやら入院患者らしい。

少女は、とてもホッソリしていた。
可愛い子だけれど、ちょっと痩せ過ぎているのが気に掛かる。

何の病気だろう?
掴んだ手首が折れそうに細い。

「此処に入院しているの?」

ボクの問い掛けに、少女はコクンと頷いた。

「病室まで送ろうか?」
「…いいの?」

 漸く口をきいてくれた。
少しだけ笑っている。

怪我は無いようだけれど、折角こうして心を開いてくれたのだから、誠意ある対応をしたい。

 ボクは、彼女を病室まで送る事にした。
少しの間なら、氷見も待っていてくれるだろうし、無事に送り届けたら、直ぐにお暇すれば良い。

 ──この後、何が起こるかも知らずに。
ボクは踵を返して、彼女の病室へと向かった。