何と言葉を掛ければ良いのか、独り煩悶していると…篝は突然キッと顔を上げて、ボクを見据えた。

「首座さまは、どう思われますか?!」
「はい?」

「首座さまから御覧になった私って、正直どうなんでしょう?当主に向いていると思われますか!?」

「…え、えーと…それは…」

「率直なご意見をお聞かせ下さい!」

 向けられた真摯な眼差し。
泣いているのかと思いきや、打って変わって真っ向から、強い視線を投げ掛けて来る。

なまじ可愛いらしいだけに、切羽詰まった顔をされると鬼気迫るものがある。こちらが一瞬たじろぐ程の──

 篝は、尚もボクに訪ねた。

「女当主とは、そんなに頼り無く見えるのでしょうか?それとも私が子供だから??」

「いや…そんな事はないと思うけれど…」

「ですが!!《木の星》は、一座の中でも、常に末席に置かれているんです!やはり、女性が当主に立つという特殊な家柄だからでしょうか?」

「いや。それは…違うと…」

「でも私、知っているんです。一座の皆様が、影で私を何と仰有っているか…!」

「篝…」

「皆様、幼い女当主など頼りにならないとお考えなんです。女は、いずれ結婚して一座を離れてしまう…だから、信用ならないと思っている。口に出しては言わないけれど…多くの方が、一様にそう感じている。私には解ります。」

「君は、天解(テンゲ)の行者なんだね?」
「はい。」
「皆と言うけれど、具体的には誰の事?」