戸惑うばかりのボクに、篝は言う。

「…感激です。《神子》の首座さまは、数百年に一度巡り遭えるか否という『行の天才』だと聞きました。そんな方が私の代の首座さまに成られるなんて!」

「………。」

 ボクは。
ふと、先程の祐介の言葉を思い出した。

『光に引き寄せられる蟲』──彼女も、そうなのか?今日の烈火が、そうであった様に。

 複雑な気分で、目の前の少女を見る。
可愛らしい、あどけない女の子。
こんなに若いのに、もう当主だなんて…

「ボクなんかより、君の方が余程才能があるんじゃないかな?」

「え?」

「だって君、今いくつ?ボクよりずっと年下でしょう??」

 篝は、困った様な顔をした。

「私…十四歳です。」

「ほらね。ボクより若いのに、もう当主に就いている。優秀な証拠だよ。」

「そんな、事は…」

ボクの言葉に、篝は益々、困惑顔になった。

 物凄く意地悪な事を言っていると解っている。いっそ、八つ当たりに近いかも知れない…だけど。こんなにも一途に、憧憬の眼差しを向けられるのは──正直辛い。