独り、感慨に耽っていると──烈火はニヤリと笑って、また顔を近付けた。

「…なぁ、薙。味方になってやる代わりに、ひとつだけ条件があるんだけどさ。」

「条件?」

「もし当主にならないと決めたら、お前、俺の嫁になれ!」

「…は?」

 何を言い出すかと思えば──!
悪い冗談だと笑い飛ばすつもりだったが、烈火は透かさずボクの鼻先を指差して、こう続けた。

「俺は、お前が気に入った!この俺様を倒すとは大した女だ、胸は無いけどなっ!! 褒美と言っちゃあなんだが、特別に俺の正妻の座をくれてやるぜ!感謝しろ!!」

 パァン──!

鈍い音と共に、一慶の平手が烈火の後頭部に決まった。

「もう帰れ、お前は!」

 ──こうして。賑やかな珍客は、大騒ぎしながら、追い立てられる様に帰還した。

《火の星》火邑烈火…か。
少しズレているが、面白い人だ。
他の星の当主も、あんな風だろうか?

 少しだけ、興味が湧いて来た。

うん。ほんの少しだけ…。