「お見事──！」

　突然。背後から、大きな歓声と拍手喝采が起こった。

振り向けば…いつの間に集まったのか、回廊が大勢のギャラリーで溢れている。

　その多くが、藍の作務衣を身に付けた《護法》だった。武闘派だけあって、皆、鍛えられた良い体躯をしている。

各々、かなりの手練れと見て取れるが──それにしても、ど偉い迫力だ。どいつもこいつも、見るからに武骨な風体をしていて怖い。

　そんな彼等の注目を一身に浴びて…ボクは束の間、混乱した。

「な…何!?何なの、一体！」

　おろおろと視線を巡らせれば、群衆の一番中央に、見覚えのある姿が在る。長身黒髪の若い男が、回廊の手摺りに上体を預けて、ニヤニヤと此方を眺めていた。

「一慶…！」

　目が合った途端。
彼は、『よぅ！』と手を挙げ応える。

「良い立ち合いだった。なかなか見応えがあったぜ。結構やるじゃないか、焼き饅頭のくせに。」

　や。焼き饅頭って言うな──！