「行くぜ、糞餓鬼──っ!」
雄叫びと共に、男の拳が繰り出された。
ボクは腕をクロスさせて、その攻撃を受ける。
「う…っ!」
凄まじい拳圧に、腕が押し戻された。
ボクは、大きく体勢を崩してしまう。
ザザァ!
玉砂利に足を滑らせ、尻餅を着いた途端、立て続けに男の拳が打ち下ろされた。ゴロゴロと地を転がりながら、紙一重で攻撃を躱わせば、弾けた石が四方八方に飛び散る。
ザッ!
ザザッ、ザッ!!
的を外れた拳が、次々に地面に突き刺さった。逃げ回るボクに、男はしつこく食い下がる。
「逃げるな、おらぁ!」
…と、鬼の形相で追ってくるけれど。
逃げるなと言われてジッとしている奴が、何処の世界にいるだろう?
間断無く続く攻撃。
男は、見事な身のこなしで迫ってきた。
執拗に詰め寄られながらも、ボクは必死に付け入る隙を窺う…すると。
大きく拳を振るった拍子に、ほんの束の間、男が無防備な脇腹を晒した。
──今だ!
「やぁっ!」
回転と同時に体を捻って、ボクは蹴りを放った。渾身の一撃が、男の脇腹に当たる。
「ぐぉっ!」
短い悲鳴と共に攻撃が止んだ。
男が蹲って痛みを堪えている間に、ボクは立ち上がって体勢を整える。
すると──
「く…っ、くくくくく……っ」
小刻みに肩を揺らしながら、突然、男が笑い出した。頭を打ったのかと心配したけれど…。
「…なんだよ、めちゃめちゃ強ぇじゃん。こりゃ、手加減なんかしてらんねぇな。」
言い終わるや否や、男はヒョイと立ち上がった。
「じゃ、本気で行くわ。」
刹那。
右の拳が、物凄い早さで突き出される。
瞬時に避けて手刀を振り下ろすと、男はそれを左腕で受け止めた。
「…悪りぃな。見えてんだよ。」
ニヤニヤと笑いながら組み合った腕を振り解き、男は又も拳を繰り出して来る。
右、左、右、一回転して足蹴り。
「こらぁ!チョロチョロ逃げんなっ!!」
苛立った口調で叫んでは、また蹴りを放つ。
その攻撃に、ボクは手刀で応戦した。向こう脛を強(シタタ)か撃ち付けると、男はガクンと膝を着く。
「ぃ…てっ!」
──そうして。
暫しの悶絶の後、物凄い顔で睨まれた。
雄叫びと共に、男の拳が繰り出された。
ボクは腕をクロスさせて、その攻撃を受ける。
「う…っ!」
凄まじい拳圧に、腕が押し戻された。
ボクは、大きく体勢を崩してしまう。
ザザァ!
玉砂利に足を滑らせ、尻餅を着いた途端、立て続けに男の拳が打ち下ろされた。ゴロゴロと地を転がりながら、紙一重で攻撃を躱わせば、弾けた石が四方八方に飛び散る。
ザッ!
ザザッ、ザッ!!
的を外れた拳が、次々に地面に突き刺さった。逃げ回るボクに、男はしつこく食い下がる。
「逃げるな、おらぁ!」
…と、鬼の形相で追ってくるけれど。
逃げるなと言われてジッとしている奴が、何処の世界にいるだろう?
間断無く続く攻撃。
男は、見事な身のこなしで迫ってきた。
執拗に詰め寄られながらも、ボクは必死に付け入る隙を窺う…すると。
大きく拳を振るった拍子に、ほんの束の間、男が無防備な脇腹を晒した。
──今だ!
「やぁっ!」
回転と同時に体を捻って、ボクは蹴りを放った。渾身の一撃が、男の脇腹に当たる。
「ぐぉっ!」
短い悲鳴と共に攻撃が止んだ。
男が蹲って痛みを堪えている間に、ボクは立ち上がって体勢を整える。
すると──
「く…っ、くくくくく……っ」
小刻みに肩を揺らしながら、突然、男が笑い出した。頭を打ったのかと心配したけれど…。
「…なんだよ、めちゃめちゃ強ぇじゃん。こりゃ、手加減なんかしてらんねぇな。」
言い終わるや否や、男はヒョイと立ち上がった。
「じゃ、本気で行くわ。」
刹那。
右の拳が、物凄い早さで突き出される。
瞬時に避けて手刀を振り下ろすと、男はそれを左腕で受け止めた。
「…悪りぃな。見えてんだよ。」
ニヤニヤと笑いながら組み合った腕を振り解き、男は又も拳を繰り出して来る。
右、左、右、一回転して足蹴り。
「こらぁ!チョロチョロ逃げんなっ!!」
苛立った口調で叫んでは、また蹴りを放つ。
その攻撃に、ボクは手刀で応戦した。向こう脛を強(シタタ)か撃ち付けると、男はガクンと膝を着く。
「ぃ…てっ!」
──そうして。
暫しの悶絶の後、物凄い顔で睨まれた。