「ねぇ。二人は仲が悪いの?」
「え?」
「だって。昨日も喧嘩してた…」

「だから仲が悪いのかって?本当に、そんな事が知りたいの??」

 コクリと頷けば、彼は呆れた様に溜め息を吐いた。

「そんなに仲が悪そうに見える?」

「──少し。」

 正直に答えると、祐介はぷっと噴き出した。

「心配しなくてもいいよ。これでも僕等は信頼し合っているんだ。幼馴染みだしね、互いの長所も短所も知り尽くしている。仲が悪いんじゃない、馴れ合っているだけだよ。キミには、そう見えないのかも知れないけどね。」

「そうなの?」

「少なくとも、《四天》としてキミを支えるには全く支障がないから、安心して。」

「ふぅん?」

 思わず鼻を鳴らしてしまう。
つまり。喧嘩する程仲が好い…ってやつなのかな?

「じゃあ、もう一つ訊いて良い?どうして祐介は、一慶を『カズ』って呼ぶの?」

「どうして?──あぁ、そうか。キミは知らなかったんだね。いや、知らなくて当然か…」

 独り言の様に呟くと、祐介は一度外した目線を確りとボクに合わせた。

「そう大した理由じゃないよ。皆は、彼を『いっけい』と呼んでいるけれど、彼の本名は『かずよし』なんだ。」

「かずよし?甲本かずよし…?」