知る由もなかった、異世界の住人達──
存在すら意識した事も無い…なのに。
何故、急に視(ミ)えたりしたのだろう?
「彼等はキミに会いに来たんだよ。本来は、とても用心深いんだ。水辺の草むらに隠れ棲んで、滅多に人前に姿を見せたりはしない。こんな風に行者の前に、のこのこ顕われたりはしないものだよ。見付かった途端、消されてしまうからね。なのに…キミに焦がれるあまり、危険を冒して姿を顕した。憐れで小さな訪問者達さ。」
「ボクに会いに…?何故!?」
「キミが当主の血を引く人だから。」
「血…また、それ?」
不満を込めたボクの呟きと、突拍子も無い祐介の行動は、ほぼ同時だった。
「──っ!?」
思わず、ヒッと喉を鳴らす。
祐介が…ボクの掌に唇を押し当てるなり、流れていた血を、舌先でペロリと舐め取ったのである。
「ちょっ…祐介!」
「──応急処置。」
「自分で出来るから!離して!!」
慌てふためくボクを見て、祐介は悪戯に笑った。
「キミの血は甘いな。」
「へ、変な事言わないでよっ!」
振り払おうともがけばもがく程、祐介は面白がって、ボクの手に舌を這わせた。
指の間を舐ぶられ る感触に、ゾクリと肌が粟立つ。
存在すら意識した事も無い…なのに。
何故、急に視(ミ)えたりしたのだろう?
「彼等はキミに会いに来たんだよ。本来は、とても用心深いんだ。水辺の草むらに隠れ棲んで、滅多に人前に姿を見せたりはしない。こんな風に行者の前に、のこのこ顕われたりはしないものだよ。見付かった途端、消されてしまうからね。なのに…キミに焦がれるあまり、危険を冒して姿を顕した。憐れで小さな訪問者達さ。」
「ボクに会いに…?何故!?」
「キミが当主の血を引く人だから。」
「血…また、それ?」
不満を込めたボクの呟きと、突拍子も無い祐介の行動は、ほぼ同時だった。
「──っ!?」
思わず、ヒッと喉を鳴らす。
祐介が…ボクの掌に唇を押し当てるなり、流れていた血を、舌先でペロリと舐め取ったのである。
「ちょっ…祐介!」
「──応急処置。」
「自分で出来るから!離して!!」
慌てふためくボクを見て、祐介は悪戯に笑った。
「キミの血は甘いな。」
「へ、変な事言わないでよっ!」
振り払おうともがけばもがく程、祐介は面白がって、ボクの手に舌を這わせた。
指の間を舐ぶられ る感触に、ゾクリと肌が粟立つ。