思わず顔をしかめると、祐介がボクの肩をポンと叩いて言った。
「大丈夫だよ。キミの部屋には、一番強力な結界を張ってあるからね。滅多なモノは入り込めない。」
「それ…さっき、一慶から訊いたよ。皆で結界を施したって。」
「カズから?ふぅん…」
少し意外そうに片眉を上げる祐介…が。
すぐに悪戯じみた笑顔になって、当前の様に、こう続けた。
「じゃあ、呑み直そうか?」
「呑み直すも何も…ボク、未成年だし…」
「うん、知ってる。」
「知ってるって…」
困惑していると、益々にっこり微笑まれた。
「今夜は特別だ。幸い、僕らの他には誰もいない事だし…二人だけの秘密って事にしておけば問題無いよ。ね?」
…『ね?』って、あんた。
沙耶さんがボクに酒を勧めた時は、空かさず窘たくせに。
本当に、祐介は気分屋だ。
自ら豪語するだけの事はある。
内心呆れていると…彼は、小上がりの隙間に手を差し込み、赤い鼻緒の小さな桐下駄を取り出して、石段の上に乗せた。
「履いて。此処から中庭に出るよ。」
ボクの背に手を回す仕草が、あまりにも自然で…つい、彼の言いなりになってしまう。
しかし、成程…。
廊下と中庭の段差を利用して、軒下に下駄箱の様な物を作り付けてあるのか。
秘密の収納マジックに、思わず感心してしまう。面白い家だな。まだまだ、いろんな仕掛けがありそうだ。
用意された下駄を履き、ボクは暗い中庭に降りた。いつの間にか、眠気も疲れも吹き飛んでしまっている。不本意ながら、すっかり祐介のペースだ。
「大丈夫だよ。キミの部屋には、一番強力な結界を張ってあるからね。滅多なモノは入り込めない。」
「それ…さっき、一慶から訊いたよ。皆で結界を施したって。」
「カズから?ふぅん…」
少し意外そうに片眉を上げる祐介…が。
すぐに悪戯じみた笑顔になって、当前の様に、こう続けた。
「じゃあ、呑み直そうか?」
「呑み直すも何も…ボク、未成年だし…」
「うん、知ってる。」
「知ってるって…」
困惑していると、益々にっこり微笑まれた。
「今夜は特別だ。幸い、僕らの他には誰もいない事だし…二人だけの秘密って事にしておけば問題無いよ。ね?」
…『ね?』って、あんた。
沙耶さんがボクに酒を勧めた時は、空かさず窘たくせに。
本当に、祐介は気分屋だ。
自ら豪語するだけの事はある。
内心呆れていると…彼は、小上がりの隙間に手を差し込み、赤い鼻緒の小さな桐下駄を取り出して、石段の上に乗せた。
「履いて。此処から中庭に出るよ。」
ボクの背に手を回す仕草が、あまりにも自然で…つい、彼の言いなりになってしまう。
しかし、成程…。
廊下と中庭の段差を利用して、軒下に下駄箱の様な物を作り付けてあるのか。
秘密の収納マジックに、思わず感心してしまう。面白い家だな。まだまだ、いろんな仕掛けがありそうだ。
用意された下駄を履き、ボクは暗い中庭に降りた。いつの間にか、眠気も疲れも吹き飛んでしまっている。不本意ながら、すっかり祐介のペースだ。