「沙耶さんまで?」

「あの人は俺達の師匠だ。全面的に信用して良い。遥もな。」

「遥も?」
「アイツも次代の《四天》なんだよ。」

 遥が四人目の四天…。
もしボクが当主になったら、一慶達がボクの守護者になる。

 不思議だ…。
何故だか、それがとても頼もしく思える。

彼等が護ってくれるのなら、思い切って当主になっちゃっても良いかな──なんて、前向きに思えてしまうくらいに。

 …いやいや、駄目だ。
状況に流されちゃいけない。
彼等の──引いては、一座の未来が、ボクの双肩に掛かっているのだ。

決断するには、まだ早い。ここは一つ慎重に…

 その時、不意に、酔い潰れたおっちゃんが、ゴニョゴニョと寝言を呟いた。なんとも拍子抜けする光景だ。

こんな平和そうな顔をして寝ている人が、六星一座の中心人物だなんて信じられない。

 《六星》とは…何だろう?
『仏の守護者』というが、実際、何とどうやって闘うのだろう?

「ねぇ、一慶?結界って何?? 行者って何をするの? 霊とか神とか…そんなもの、本当にいるの??」

 矢継ぎ早な質問に、彼は僅かに戸惑いの表情を浮かべている。困らせているのは解っているが──何度説明を受けても信じられないのだから仕方が無い。