…すっかり意気消沈してしまったボクを見て、一慶は少し困った様に笑った。

「怖がらせちまったな…悪かった。」

「ううん、いい。知らなかったら、もっと話が拗れていたと思う。」

「確かにそうだ。お前は、飲み込みが早くて助かるよ。」

「……。」

「とにかくだ。そんなえげつない爺さんに、お前は随分気に入られたらしい。奴が、こんなあからさまな行動に出たのは初めてだよ。…氷見に聞いたぞ?お前、部屋から抜け出したんだって?」

「…うん…」

「あのなー。逃げるなら逃げるで、俺達に一言相談しろよ。式が張っているんだ。単独で此処を抜け出すなんて、到底不可能だぞ?」

「解った。ボクが軽率だった…ゴメン。」

 素直に謝ると、一慶はまた少し表情を和らげた。

「こんな状況だから、疑心暗鬼になるのは仕方が無い。だけど、頼むから俺達だけは信用してくれ。気持ちが固まったら真っ先に相談しろ。俺達は、お前の四天だ。いつだって協力する。」

「うん。ありがとう、一慶。」

「それと。お前の部屋には、特にも厳重に結界を張っておいたから安心していい。」

「厳重に?」

「あぁ。俺と親父と沙耶さん、祐介に苺…それと遥の六人掛かりだ。最強だろう?」