「お前が伸さんから習っていたのは、《六星武術》と呼ばれるやつだ。体術の他にも剣術、弓術、輪や薙刀を使うものがある…。全部一通り習ったか?」

「うん、一応。」
「そうか。そう来なくっちゃな。」

 そう云って、一慶は、また嬉しそうに笑う。ボクは、少し気になって訊ねた。

「一慶は、実戦経験があるの?」
「あぁ。最近は多いかもな。」
「そう…」

やはり、六星行者の仕事は危険なのだ。想像した途端、肌が粟立(アワダ)つ。

「《六星武術》は、当主を護る為に、必ず身に付けなくちゃならないんだよ。四天は、当主の守護者だからな。行力と武術──この二つを駆使して、一族の長を護るのが勤めだ。実戦経験が無いと使い物にならない。」

「…氷見が言っていた。ボクの周辺は危険が多いから、自分がボディガードとして就いているって。だけど護法と四天って、どう違うの?」

「護法とは、武闘派の門下のことさ。中には、武術だけを習得して、行者の修行を積まない一般人も混じっている。格闘技としての《六星武術》を習いに来てる奴も大勢いるんだよ。四天は、護法達の師範だ。」

 師範か…成程。道理で強い筈だ。