おっちゃんを担いだ一慶が、嫌そうに顔を背けながら入って来た。ボクは急いで、枕元に置かれた常夜灯のスイッチを点ける。

「サンキュ。ついでに掛布団も上げてくれるか?ゴミだらけで足元が見えねぇ。」

「うん。」

 …そんな風に協力し合いながら、ボク等は漸々にして、おっちゃんを布団に横倒えた。

夏とは云え、夜明け近くともなると、急激に気温が下がってくる。

 ちょっぴり贅肉の目立つ大きなお腹に、薄い肌掛布団を掛けてやると…ボクは、そっと枕元を離れた。

 暫しの沈黙の後。

「はぁぁ…」
「ふぅぅ…」

ボク等は同時に、盛大な溜め息を吐いた。