「…な? こんなだから、お前がいてくれて助かってるのさ。」

「な、成程。」

 実地で納得した。

酔っ払いの行動は、予測不可能だ。

 これが切っ掛けとなって、ボク等の間に流れる空気が、徐々に和やかなものに変わっていった。ポツリポツリと交わす会話も、何やら心地好い。

「おっちゃん重い。少し肥った?」

「かもな。最近あまり動かねぇから。」

「運動不足?」

「だろうな。首座代理に任命されてから、親父は四天の役目を外されている。近頃は現場の仕事も無くなって、執務所にデーンと座ってばかりだ。」

 クスクス笑って一慶が言う──だが、ちょっと待て。

今、気になる言葉が…

「おっちゃんって、四天だったの!?」

「知らなかったのか?」

「知らないよ、何も聞いてない!」

「そりゃ悪かったな。てっきり、祐介辺りから話を聞いているのかと思っていた。」

「…言われてないよ、誰にも…何も。」

 ボクは、脱力した。
どうして皆そういう肝心な情報を与えてくれないのか?此方は予備知識が無いというのに…忘れていたにも程がある!!

「つまり。ボクは既に、二人の四天と顔を合わせた事になるんだね?」

「そうだな。」

「そう…解った。ところで一慶は、ボクに式神を憑けた人物を知っている?」

「え…いや、俺は。」