動揺を気取られまいとして俯けば、沙耶さんは、ますます身を乗り出して、ボクを覗き込んで来た。

「本当に可愛いわねぇ~。色が白くて、目が大きくてウサギさんみたい。黒くて真っ直ぐな髪は伸之さん譲りね。短い髪も、とても良く似合っているわ。」

「…………。」

 どうして。
どうして今、そういう事を言うのだろう??
恥ずかしくて、居堪れない。

反応に困って、口をパクパクさせていると、出し抜けに一慶がピュウと口笛を吹いた。見れば、皆がニヤニヤと含み笑いを湛えて、此方を見ている。不躾な眼差しに、頬がカッと熱くなった。

(何だよ、皆して。見世物じゃないぞ!!)

 揶揄する視線から逃れる様に──ボクは、自ら話題を振る。

「…それにしても、驚きました。まさか四天の方と、こんなに早くお目に掛かれるとは思いませんでしたので。」

 少しの毒を込めてそう言うと──。
沙耶さんは、悪戯がバレた子供の様に、小さく肩を竦めて答えた。

「内緒よ?本当は、未だ会ってはいけないの。でも貴女が到着したと聞いて、居ても立ってもいられなかったのよ。だって、誰よりも早く、貴女に会いたかったんですもの。」

「成程。一足先に、ボクを値踏みにいらしたという訳ですか?」