東口に着くと、なぜか隣にはハローくんより小柄で猿顔な附学の男子がいた。

「ゆづちゃん、ごめん、こいつまけなかった」
と、ハローくんが少し申し訳なさそうな顔をする。

「えっと……初めまして」
「初めまして」

柚月が困惑していると「後輩」と短く説明する。

「なんすか。ちゃんと説明してくださいよぉ。俺、道長智文(ミチナガトモフミ)って言います。よろしくお願いします。ミッチーって呼んでください」とハキハキと挨拶をする。
「ミッチー……あ、柚月です」と小さくお辞儀を返す。

「ハローさんが、彼女とデートするっていうから気になって着いてきたんですよ」

だから違うと否定しようとするハローくんを遮り、
「俺、ハローさんに憧れて附学入ったんです。ハローさんは俺の憧れなんです。いーなー、ハローさんと俺も付き合いてぇ。えーどうやって付き合ったんですか? ハローさんからすか。なんも教えてくんなくて」
勝手にヒートアップするミッチーに柚月は割り込む隙がない。ハローくんと付き合いたいという意味をどう捉えていいのかもわからない。

「だから、彼女じゃないっつうの」
ハローくんがようやく否定した。
「えっ、でも渋さん、そんな感じで言ってましたよ。俺、挨拶しなきゃと思って来たんですけど」
「もういいから行け。それ以上言ったら殺す。もしくは今すぐ埋める」
「あ、すんません。じゃあ、また。ハローさんのことよろしく頼みます」
渋々、改札の方へ向かっていった。