数日後、約束の日になった。
柚月は、学校が終わり電車に乗り込む。
上映会は新宿のシネマで、待ち合わせの時間は決めていたが、彼はどうやら学校を早退したらしく駅に着いたら連絡してとメールがきていた。
ハローくんと会えることは嬉しいはずなのに、美織に後ろめたい気持ちもある。
柚月が感じている違和感に美織も気づいていると自覚しているせいだ。
幼い頃の彼女はそんな柚月を見て、柚月が心臓の持ち主に乗っ取られるのではないかと本当に思っていたように感じる。
今はそれをどのように捉えているのかわからないが、良く思っていないことは確かだ。
自分がそれに対してどう感じているか、きちんと説明しなければいけない。
それなのに、この前は何も言えずに誤魔化して逃げてしまった。
きちんと説明する。
そう決めると、そうするにはまず、ハローくんに尋ねなければいけないことがある。
正直、今は言いたくないほうが勝っていて、今日それができるかと言えばできない気がする。
このことを考えると気持ちが暗くなる。
柚月は今日はただ楽しもうと気持ちを入れ替えた。