そこで息を呑んだ。ハローくんが怪訝そうにこっちを見ていたからだ。

「ゆづちゃん?」
「ハローくん?」

二人の様子を見て保奈美さんは
「あれ、二人とも知り合いなの?」
と呆気にとられたようだった。

「これ息子なんだけど……知ってるんだね」と改めて保奈美さんが紹介しながら尋ねる。

「あ、はい、お友達です」
「え、本当に? え、大丈夫? なんか悪いことされてない?」
なぜか心配され慌て首を横に振る。
「え、悪いこと? まさか全然」

柚月が困惑していると、ツカツカとハローくんがレジ前まで来て「鍵と財布忘れた」とぶっきらぼうに告げた。

柚月に今まで見せていた笑顔とは対照的なほどむっつりした様子に、保奈美さんから普段バカ息子と聞いていた話が重なった。

「はっ? どうやったらそれ忘れられるの」
「いいから、鍵」
さっさと寄こせというように手を出した。
「んじゃあ、鍵渡すから。その代わり柚月ちゃん、送ってきな。うちのお得意さんだから」

「え」とお互い顔を見合わせた。