そう言って笑う。柚月は遠まわしにさっき落ち込んでいるといったことに対しての励ましだと気づき、頷いた。

柚月がふと横に飾られているコルクボードに視線を移す。
ワークショップのご案内と書かれているプリントには青々とした木の枝に松ぼっくりや赤い実、白い花が飾られているクリスマスリースの写真がある。

「ワークショップ?」
「うん。月1でここでやらせてもらってるの」
「すごい可愛い」
「ありがとう。来月はクリスマスだから、クリスマスリースを作る予定なんだ」
「簡単に作れるんですか?」
「難しくないし、ちゃんと教えるから大丈夫だよ。全然作ったことない人でも作れるし。毎回、参加した皆さん素敵な作品作っていくから感動しちゃう」
と、携帯から先月のワークショップで参加者が作ったハロウィンリースの写真を見せてくれた。
パンプキンやどんぐりなど秋らしいパーツが飾られていて、ひとつひとつの作品の雰囲気は違うが、どれも愛らしかった。

「すごい可愛いですね。いーな、作ってみたい」
「じゃあ参加する?」
「はい。お願いします」
「じゃあこれに記入をお願いします」
渡された申し込み用紙に記入していると、保奈美さんは「あれ? 春、何やってんの?」
と店の外に声をかけた。