湖夏の言う通り、朝芽先輩への思いはもう終わりにしたいと決めているから、気にしなくてもいいのかもしれない。
そう思っていても気持ちは簡単に割り切れない。
小柄で愛らしい彼女と比べると身長も高いしあっさりした顔の自分が好きになってもらえるか自信もない。
それにこの前の突き放された態度……考えれば考えるほど柚月は自信がなくなる。

「それはそうなんだけど」
「それよりさ」と湖夏が優しく微笑んだ。
「柚月がようやく自分の気持ちに気づいてくれたことが、私はなんか嬉しいよ」
「え？」
「なんかわかんない、わかんない言ってさ。自分の気持ち認めないっていうか、ずっと頑固ちゃんだったもんね」
「そ……それは」

自分なりに訳があったと言いたかったけど、今となっては本当にどうでもいいことだ。

「うん。本当に、気づかなかった」
「恋してるって幸せでしょ？」
「……うん、確かに」
「ああ、いいなー。私も恋したい」
「あれ？　渋谷くんは？」
「うーん。そういう対象じゃないかもな。いい人ではあるんだけどね。まあ私は、二人を応援してるからさ。ねっ」

湖夏の素直な気持ちが嬉しくて、柚月は頷いた。