「あわわわ。またついてた」
恥ずかしそうに慌てふためく、それでさえもなんだか可愛らしいなと柚月は笑いながらティッシュを手渡した。
「ハローくんって、食べてるときすごい幸せそうな顔してるよね」
「そう? なんも考えてないけど」
「そっか。考えてないから幸せなんだね。
だって頭で考えてるときって、感じてないってことだもんね。ふふ。
なんか一緒に食べてると幸せな気分になるよ。
食事ってとても豊かで幸せなことなんだなって思えちゃう位」
「うん、確かに食べてるときって、色んなことに感謝しちゃうもんね。生きてることとか、生かされてることとか、自然とか人とか色んなことに。そういうの踏まえてニコニコしちゃうのかもね」
さらりと感謝を述べる。
だから柚月はさっきハローくんが食事の途中で気の抜けた顔になっていたのが気になって仕方なかった。
何か悩み事でもあったのだろうか、考え事をしていたようにも見えて。
だけど今のハローくんはいつものハローくんだ。気のせいかと考え直した。
「はい、お芋」とハローくんは柚月の口元にポテトを近づける。
突然のことに驚くも思わず口にくわえしまった。それくらい自然な仕草だった。そういえば、ハローくんは柚月を芋好きだと思っている。それで買ってくれていたのならなんだか嬉しいなと、柚月は胸が温かくなるのを感じていた。