「俺、料理できないからな。食べるの大好きだけど」
「私も食べるの大好き。じゃあ、私が作ろっか?」
「まじで。いいの?」と期待のこもった目で見られると少し困る。胸を張れるほど料理が得意なわけではないから。

「え、うん。おいしいかは別だけど」
「じゃあ楽しみにしてる」

そろそろ行こうかとハローくんは立ち上がった。
会話は柚月の家がどのあたりなのかという質問に変わってしまう。それに答えながら、さっきの約束はやっぱり社交辞令みたいなものかなと気持ちが沈む。
だけど会話の流れを断ち切ってまで、ピクニックの話ができるような勇気はなかった。

公園の出口に着くと
「なんかゆづちゃんといると和むね。また会えたら嬉しい」
と彼は笑った。

その一言に、胸の中に喜びが広がり
「会えるよ。会える。私も会いたい」
と、柚月は勢いよく口にしていた。

ハローくんは驚いてから、柔らかい顔つきになる。

それから「じゃあ会えるね。お互い会いたいんだもんね」と笑った。