どうして自分はわかったんだろう。柚月は答えられずただ先を急いだ。
「先に行ってるね」
「え、待ってよ」
海に抜けるまでの道はさらに細く、周りの茂みは太陽の光を浴びきったというように伸びていて身体に触れてくる。
それを腕でかきわけ砂浜に踏みだすと、視界に海と空が広がる。あまりの静けさに一度息を飲んだ。
突然、虫の羽音が聞こえ驚いた。左を見ると青々とした海岸林が風で揺れていた。
視線をそっとずらすと、少し離れたところに小さな緑の島が見え、船が浮かんでいる。
熱気を含んだような空気でさえ、どうしてか懐かしく感じている。
海と空の境界線があいまいで、どこまでが海かどこまでが空かわからない。ああ、私みたいだとそんな言葉が浮かんだ。