家に帰り、壁にかけていたクリスマスリースを手にとった。
ハローくんの作ったものだと知り、改めて彼に感謝の気持ちが湧いた。
それからふと思い出す。
病室で彼の周りに臓器移植した人がいるか訊いた際、こう言われた。
『ねえ、ゆづちゃん。こういうこともあると思う。
俺だって、出会ってからもう会ってない人だって沢山いるからね。
俺の知らないところでその人が死んで、ゆづちゃんのところに行っててもおかしくはないよね』
保奈美さんは、彼のお父さんが死んだことも臓器移植をしたこともハローくんは知らないと言っていたけど、
どこかわかっていたような口ぶりだった。
幼い頃に別れて会っていないということは、単純にもう亡くなっている人とでも捉えていただけなのかもしれない。
だからああ話しただけなのかもしれない。
それだけなのかもしれない。けど。
なんとなく、お父さんと離れたことは、彼の淋しさを縁取るような出来事だったようにも思えてならない。
自分の胸に手を当てた。
規律良く鼓動を刻み、自分が生きるために血液を身体中に送り続けてくれている。