「だから、食べ物と一緒だよ。
どんな風に育った動物か果物かとか考えながら食べなくても、感謝があればいいんだよ。
もらった命に感謝してれば、それが守ってくれるんだから。
そうして、本当は命って繋がってるんだよ。そんな気がする」

胸の中に風が通り抜けたような爽快さが広がる。
「そっか。そうだね。うん」
柚月は笑うと
「今、ハローくんの中に、天使がいたみたいだった」
「俺の中に天使?」
「うん」
「羽根、黒くない?」
「ううん、真っ白」
「はっ」

笑うとハローくんは「じゃあ、俺、行くね」と立ち上がった。

「あ、ハローくん、また来る?」
もう少し一緒にいたい気持ちが素直に出てしまった。
「え」
「あ、ごめん」
本当はもう来ないつもりでいたのに、笑顔につい応えたくなり
「うん、来る」
と返事をしてしまった。

「いつでもいいから」
「じゃあ、明日来る」
「え? 本当に? じゃあ甘いの用意しておくから、手ぶらでおいでね」
「お見舞いなのに?」
「うん。ハローくん食べてるところ見てると元気になるから」
「何それ。それは、やっぱりわかんないや」
と笑いながら、彼女が元気になるまで会いに来てもいいかと自問自答した。