「……お姉ちゃん。懐かしいってさ……それって前もあったじゃん。私ね、お姉ちゃんの心臓の持ち主の記憶なんじゃないかって前からずっと思ってたよ」
美織はずっと隠していた胸の内を打ち明けた。

「もしさ、あの人の大事な人がお姉ちゃんの中にいるとしたら、どういう気持ちになると思う?」
「……」
「それを別にしても、私、反対だからね。
こうしてお姉ちゃんを変な騒動に巻き込むのもそうだし。
やっぱり不良は嫌いだし。
お姉ちゃんを長時間、寒くて汚いところに置くなんて……あの人が直接やったことじゃないとはわかってるけど、やっぱり頭にくるよ」
「体調はそこに行く前からたぶん良くなかったから、関係ないから」
「でもこんなにひどくなる前に病院に来れたかもしれないし」
「そうかもしれないけど、でも彼は悪くないから」
「でも……」

これ以上、この話をしてもきりがないと感じたようで口をつぐんだ。
それから
「でもあの人、すごく心配してたから、連絡してあげたほうがいいと思う」
と美織は素っ気なく伝えると、コンビニの袋からジュースを取り出した。