目覚めると柚月は病院のベッドの上にいた。
うっすら覚えているのは、ハローくんとその先輩の木村が会社に置いていた車で柚月の自宅まで送り届けてくれたことだ。

玄関で応対してくれのは確か美織だった。
それから心配したママと救急のあるかかりつけの病院に行った。それで確か入院することになって――。

「ハローくん」
と呟いて身体を起こすと誰もいなかった。
時計を見ると9時を過ぎていた。
明るさからすると朝だ。

点滴がされていて、部屋のドアが開くと
「あ、お姉ちゃん。良かった。目を覚まして」
と美織が駆け寄ってきた。
手にはコンビニの袋がある。

「ママさっきまでいたんだけど、荷物取りに家に帰った。パパも心配してたよ。とりあえず仕事に行ったけど、休日出勤だから早退してくるかもって」
「ごめん。心配かけて」
「ううん。熱下がったら、念のため、検査するって言ってた」
「うん。ごめん」
「謝ってばっかり。やめてよ」
「だって、心配かけたから」
「それは謝ることじゃないから」
「……うん。ありがとう。なんかどっちがお姉ちゃんか分からなくなるね」