人数を減らせたお陰で余裕が出来たが、外に行った連中が戻ってくる前に出来るだけ潰しておきたい。
それが作戦だった。
ここに来る前に、高校の卒業生である木村の勤め先が近くであることに気づいたハローくんが寄って欲しいと頼んで会いに行った。
そこで木村にハローくん達の振りをしてバイクで廃工場まで行ってほしいとお願いをした。
それに気を取られているうちに俺らは忍び込むからと。
高校生の頃は、顔を合わせればいがみあうような関係ではあったが、なんだかんだハローくんのことを可愛がっている面もあり、木村は引き受けたようだ。
徹底的にぶちのめす。鶴見が伸びてる隙にやってやる。
そう思っていたハローくんだったが、柚月の顔が思い浮かぶと足が止まった。
また怒られるのかな。そんなこと気にしている自分に笑ってしまう。
それが迷いとなって、鶴見の方まで進めず、横から他の奴に殴り掛かられる。
それをひょいと交わして、腹部に突きを喰らわせると、次々と襲いかかってこられた。
外にいた数人が戻ってきた頃には陽高はほぼ全滅といった状況だった。
「どこだよ?」
ハローくんが叫ぶと、シンと静まり返る。
鶴見も倒れていたせいか、勝ち目はないと悟ったようで
「向こうだよ」
奥の扉を指さした。