「渋さんは柚月さんと何かあったんじゃないかって言うし、余計気になって」
「ハローくんが私のことで落ち込むことはないと思うけど」
「そうすか」
渋谷の言っていたことを真に受けていたようで、しゅんとする。
ハローくんがいう、あることないことを言いふらすとはこの事かと苦笑いした。

「うん、ごめんね」
「急に押しかけてすみません」
「ううん」

駅の方まで行くというので、一緒に向かうことにした。

「ミッチーくんって、ハローくんに憧れて高校に入ったって言ってたけど、中学の頃から知ってたの?」
「あ、はい。そうなんす。なんか俺、中学の頃、ちょっと友達と夜遊びしてたら高校生に絡まれたことがあって」
「うん」
「金盗られたあげく、殴られて」
「えっ? 酷い」
「酷い話っすよね。それでその高校生が立ち去ろうとした瞬間、ハローさんがそこを通りかかったんすよ」
もしや助けてくれたのかと思って聞いていると

「したら、そいつらの一人がハローさんの肩にぶつかって、ハローさんが食べようとした肉まんを落としちゃったんです。揚げ句に踏まれて。で、ハローさんがブチ切れてそいつらを一瞬で倒したっていう」
柚月はぶっと噴き出してから笑った。
「え? 何かおかしいすか」