亡くなった瑞樹くんや心臓を提供してくれた人、生きたくても生きられなかった人達の顔や思いが浮かび、熱くなる。

だけど、そんな柚月とは反対に冷たく言い放った。

「生きたくても生きられなかった人がいるから、なんなの」
「なんなのって……そういう人たちの為にも自分が幸せに生きないといけないんだよ」
「何それ? ゆづちゃんは、誰の人生を生きてるの?」

そっと掴んでいた柚月の手を離した。

何も言えないまま立ちすくんでしまう。
彼の姿が見えなくなり、代わりに美織の泣いた顔を思い出す。
拳をぎゅっと握り締め胸に押し当てた。

どうしてあんな喧嘩をするんだろう。
誰も傷ついてなんかほしくない。
喧嘩なんてことに無駄なエネルギー使ってほしくない。
でも私だって、宏くんに対して感じた怒りを抑えられなかった――。
自分だって出来てないくせに、押しつけだ、綺麗ごとを言ってるだけだと自分自身に感じて、柚月はその場に蹲った。