「あっ……渋谷くん」
「なんかモメてたみたいだけど、大丈夫?
ハローの奴、キレるとまじ何するかわかんねーからな。あれで済んで良かったよ」

普段一緒にいる渋谷が言うと、さっき聞かされた話が本当のことのように感じてくる。

「渋谷くんも同じこと言うんだね」
「はっ?」
「さっき私と一緒にいた子、ハローくんと小学校一緒だったんだけどキレたら何するかわかんないって言ってたから」
「あいつ、昔からそうなのか」
おかしくて笑うと、柚月の表情は益々暗くなるから慌てて
「キレたら何するかわかんないとこあるけど、最近は昔より落ち着いてきたよ」
とフォローした。

「落ち着いてきた?」
「なんか一年のときは、なんつうんだろう。
周り全部が敵みたいに思ってた感じあったし、喧嘩もゲームみたいな感覚でやってたし、病院送りにする位ボコボコにしないと気がすまなかったりしてたし、俺らから見てもちょっと何するかわかんねー怖いとこあったよ。
でも最近は……自分から無駄な喧嘩とかしなくはなったし、昔みたいな無茶はしなくなった気はするよ」