「どうしてそんな宏くんにハローくんのことがわかるの?
ハローくんは酷い奴だっていうフィルターでしか見てないくせに。
そしたら永久に酷い奴にしか見えなくて当たり前じゃん」
「わかってないのは柚月でしょ。いい奴だって思い込んでる。俺はただ柚月を守りたいだけだよ」
「私のこと守るって……なんで? 心臓が弱かったこと知ってるから? でも今は元気だし、そこまで心配しなくても大丈夫だよ」
「柚月のこと、好きだからに決まってるだろ。それ以外、守りたいなんて思うわけないだろ」

予想外の科白に戸惑った。
この好きという言葉はきっと友達としてではないと言うのは、彼の真剣な表情から伝わってくる。
そして、言ったことを少し後悔しているかのように口をぎゅっと結び顔を歪めた。

「……ごめん。びっくりして。えっと……でも」

さっきまでの調子が出ず、しどろもどろになる。

「知ってる。あいつが好きなんだろ」
「……」
「ごめん。そんな顔させるつもりなかったんだけど」

何か言わなきゃと気だけ焦り、言葉が出てこない。

「先、帰るから」
「あ、うん」
「ごめん、忘れていいよ」

しばらく放心していた。一度に色々なことが起きて心が追いつかなかった。気持ちを打ち明けてくれたのに、酷い態度で接してしまったと後悔が襲ってくる。傷つけてしまった――。

「柚月ちゃん?」
声をかけてきたのは渋谷だった。