「うっせーな、知らねーって言ってんだろ」
騒がしかった店内が一瞬で静かになった。
ざわめきが戻ると「ごめん、お邪魔みたいだから帰るね」と何事もなかったように微笑み、そのまま店の出入り口の方へと向かっていった。
ハローくんが怒りをあらわにする姿を初めて見て、柚月は言葉を失った。
だけどすぐに冷静になり、彼を追おうと立ち上がる。
「今のでわかったでしょ。キレやすいって」
鋭く響いた。
柚月は須長くんのその問いかけに答えず、
「からかわれる系って何?」
「え?」
「俺達はからかってただけなのに、急に向こうが冗談通じなくなってキレましたって言いたいの? 自分達は悪くありませんって言いたいの?
虐めてただけじゃないの、その子達」
「………」
「今のだって同じじゃない? たぶん、きっと怒るってわかって言った」
「そんなつもりじゃないよ。ただあったことを伝えただけだよ。それに中学は違かったけど、そこでも荒れてたって噂では聞いてたし。どうせ今も変わらない。危ない奴だと思うよ」