ハローくんとはおはようとか学校さぼって帰るとか簡単なメールのやりとりをしたり、電話で話をするようになった。
メールをしていると一日の生活リズムをなんとなく知れた気になって、親近感が増す。
たまにこんなにさぼって大丈夫なのかなと心配したりもするけど、彼の通う高校では普通のことのようだ。
眠る前にかかってくる電話にも最初は緊張していたけど、最近では少し慣れてきた気がする。
彼の眠気を含んだ声を聞けるのも、気を許してるようでなんだか嬉しかった。

それからたまに散歩のついでと言って柚月のバイトが終わる頃に来てくれて家まで送ってくれたり、近くの大型複合施設にクリスマスイルミネーションが施されているという話題になると、立ち寄って帰ったりもした。

そこの中庭には複数のツリーが並んでいてサンタクロースやトナカイ、水辺に建つクレーンも灯りをまとっていてとても綺麗だった。
毎年、買い物のついでに眺めていた景色は2人で眺めているとまた違って見えるのも不思議だった。
サンタと並んで撮影できるフォトスポットも設けられていて、恋人や友人連れが並んでいる。

柚月が一緒に撮りたいなと眺めていると、
「写真撮りたい?」と尋ねられ、
「うん」
「じゃあ、並ぼっか」と優しく誘うから頷いた。

なんとなくだけど、少しずつ彼の柚月を見る視線が優しいものに変化しているような気がしてこれからまた関係が変わっていくかもしれないと僅かばかり期待してしまった。