たぶん、
待ち伏せはしてないと
思うが用心することは大事だ。

裏道を通り、
バレないように帰る。

この道は中学の時に
見つけた道であいつは知らない。

知ってるのは俺たちだけだ。

裏道から出る。

そして、そこから
慎の家まで急いで走った。

玄関の中に入った時
ホッとした。

土日は慎の家で
過ごすことになり
母さんにメールをした。

だが、問題は残ってる。

此処から帰る時だ。

あいつの前で
油断してはいけない。

少しでも気を抜くと
捕まってしまう。

「なぁ慎」

「ん?」

俺は疑問に思っていたことを
慎に訊くことにした。

「土日、外に行く予定なかったのか?」

「うん、それに
予定があったとしても
貴也の方が大事だよ」

慎の優しさには脱帽だな。

「ありがとうな」

「僕たち親友でしょ?」

嬉しいな。

「あぁ」

慎がところでと前置きをした。

「聡くんはこんなこと
始めたんだろうね?」

“聡くん”とは染野のことだ。

俺たち三人は
同じ中学だったりする。

「さぁな」

あいつのやることは
たまによくわからない。

「しかも、何で貴也?」

それは、何となくわかっている。

「誰でも良かったんじゃないか?」

「じゃぁ、来週は僕かな?」

それはないな。

「慎はないんじゃないか」

お気に入りだからな。

「どぉして?」

「だって、染野は
慎がお気に入りだかな」

俺がそう言うと
キョトンとした顔をした。

「僕が聡くんのお気に入り?」

「中学の時も
慎にはちょっかい
出さなかっただろう?」

昔から慎だけは
逆に守っていた。

「確かに、
貴也にばっかり出してたような?」

何となく思い出したらしい。

「染野のは俺が邪魔なのかもな」

「何で?」

天然つうか純粋だなぁ。

「何時も慎の傍にいるからだろう」

ようは嫉妬だ。

「俺は中学からのよそ者だから
慎を取られたみたいで
気に食わないんだろう。
まぁいいさ」

後二日捕まらなければいい話だ。

「今日は沢山話そうね。
この一週間、貴也が
追いかけられっぱなしで
まともに話せなかったからね」

「じゃぁ、いっぱい話すか」

明日は土曜だし
夜更かししても
怒る人はいない。

そして、一週間分の話をした。

楽しい時間は
あっという間に過ぎてしまう。

慎と話してて、本当に
今週はまともに
話せてなかったことを知った。

今、俺は家に
帰ろうとしているところなのだが
無事に帰れるかは運次第だ。

「じゃぁな、慎」

「気を付けてね」

あいつらが何時何処で
待ち伏せてるかわからないからな。

「わかってるって」

「やっぱり、送ってこうか?」

心配性だなぁ。

「いいよ。
心配すんな、
家に着いて部屋に
入ったら電話するから」

「わかった」

心配そうな顔をする慎に
笑顔で手を振った。

**数十分後**

俺は無事に自分の
部屋に着いた。

「もしもし、慎」

「貴也!?
電話くれたってことは
無事なんだね?」

声だけで焦ってるのがわかる。

「おう❢❢
今回は染野の負けだな」

「だね」

慎が心底
ホッとした声を出して言った。