高校を卒業して
四人で暮ら始めてから五年。

買い物から帰って来て
郵便物を取り出すと
【同窓会のお知らせ】が入っていた。

正解には母さんが
家に来た【同窓会のお知らせ】を
わざわざ、こっちに
送ってくれたみたいだ。

日時は……来月の真ん中か。

慎は行けるだろうか?

慎は専門を卒業後、
得意の英語を生かして
ツアーガイドの仕事に就いた。

俺は主夫業に勤しんでる。

亮と雪村も変わらず教師をしている。


「同窓会か、皆元気かな?」

夜、慎に【同窓会のお知らせ】を
見せるとそう言った。

教師二人は当然知っるだろう。

染野もどうしてっかな?

あいつは跡取りだから
親の会社で働いてるのかもな。

「会社には明日、
同窓会の日に休めるか聞いてくるね」

¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢

**同窓会当日**

慎は何とか休みをもらえた。

「春日井・笹山」

会場に着くと呼ばれた。

俺達を呼んだのは
同じクラスだった
陸上部のエースだった奴だ。

「倉浜、俺達はシカトか?」

少し離れたところにいた
雪村が近付いて来た。

隣にいる慎が
笑うのを耐えている。

「雪村先生・的木先生
お久しぶりです」

詰まりながら挨拶する
倉浜が可笑しかった。

「久しぶりだね。

倉浜君、そんなに
緊張しなくて大丈夫だよ」

亮は相変わらず笑っている。

雪村も本気じゃないしな(笑)

「しず、そんな顔のままだと
倉浜君の緊張が解けないよ?」

珍しいな、
慎が外で名前呼びなんて。

恥ずかしがり屋の慎は
俺達三人と違い、
外では名前呼び
しないことの方が多い。

ましてや、此処は
同窓会の会場。

「続いてたのね」

振り返ると宇佐田がいた。

「まぁな」

あの時以来だな。

「今は四人で暮らしてるよ」

亮が現役教師のくせに
サラッと暴露ってるよ(苦笑)

「は?」

倉浜が俺達の
会話に着いてこれていない。

「あんたは知らなかったのね。

この四人、付き合ってるのよ」

こいつもサラッと暴露ってくれる。

まぁいいんだけどな。

「宇佐田の言ってることは本当だ」

雪村も加勢してきた。

「何時から?」

未だ疑問符を頭の上に
浮かべながら倉浜は
それだけをやっと言った。

「高二の時」

俺が簡潔に答えて
宇佐田に質問する。

「会長とは今もつるんでるのか?」

“会長”とは俺をひっぱたいた
雪村と亮のファンクラブの会長のこと。

「あの人が卒業してからは
連絡してないし、会ってもいないわ。

風の噂で松葉先輩と
付き合い出したみたなことは聞いたけど」

松葉?

あぁ、慎を捕まえてた
気の弱そうな人か。

「あいつらがねぇ」

雪村が俺達の会話に入ってきた。

「私も吃驚しました。

あの二人は幼なじみらしいんですけど
松葉先輩は気が弱いほうですし、
逆に洞島先輩は気が強くて
女王様気質ですから、正反対なんですよ」

やっぱり、そう思うよな。

「まぁ、案外正反対だから
いいのかも知れないよ」

俺にビールのグラスを
渡しながら、亮まで
会話に入ってきた。

慎は少し離れたところに
カクテルのグラスを持って
聞き役に徹している。

三十分程した頃、
宇佐田を呼ぶ声がした。

「呼ばれたからじゃぁね。

雪村先生・的木先生、失礼します」

そう言って呼んだ
友人の方へ歩いて行った。

¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢

あの後、俺達は途中で帰った。

そういえば、染野がいなかったな。

あいつがいたら、
真っ先に慎のところに来たはずだ。

まぁ、忙しいんだろう。

親の跡を継ぐってのも
楽じゃないよな。

¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢

亮と付き合うきっかけは
染野が始めたGAME。

そういう意味じゃ
染野に感謝しなきゃな(笑)

かつてのクラスメイトに
心の中で礼を言った。

俺達はこれからも
変わらず四人で暮らして行く。

(完)