冬休みに入り、
俺達は相変わらず
亮の家に集まっていた。

二学期の連れ去り事件は
誰に知られることもなく
終わり、石浜先輩は
バスケの試合に出られた。

雪村と慎は二人で
出掛けたりするようになり
内心ホッとしていた矢先、
俺の方に問題が起きた……

あれは、亮と手を繋ぎ
マンション近くのスーパーで
夕飯の買い物をしていた時だった。

後ろから声をかけられ
振り向いた先にいたのは
普段、めったに
帰って来ない親父だった。

げっ❢❢

はぁ~

よりによって、
何で今なんだよ……

亮と繋いでる手に
ギュッと力を込めた。

「貴也?」

何かを察した亮が
優しく名前を呼んでくれた。

実は、親父とは
それほど仲がよくない。

二年前、つまり
中学三年時にも
同性の恋人がいたことがあった。

付き合ってた期間は三ヶ月。

これは慎も知らないことだ。

夫婦仲はいい二人だが
性格は正反対。

母さんはまぁおおざっぱというか
俺に対して干渉してこない。

親父は俺が一人っ子だからか
なにかと干渉してくるきらいがある。

二年前のことも親父が原因で別れた。

「お前はまた、
男なんかと付き合っているのか」

親父が同性愛を嫌う理由を
俺は知っていた。

じいちゃんが同性の恋人を
つくって出ていったからだ。

ばぁちゃんの話だと確か、
親父が中学生くらいだったはずだ。

それからはばぁちゃんが
女手一つで親父を育てた。

ばぁちゃんはじいちゃんが
バイだと知っていた。

そして、こう言っていた
「誰かを好きになる気持ちは
誰にも止められないからね」と。

中学三年生の時、
初めて好きになったのがあいつだった。

そして、二年後
亮を好きになった。

「親父は何時まで
殻に閉じ籠もってんだよ」

抑揚のない声で問う。

「もう、中学生のガキじゃないんだ、
世の中には同性愛者だって
いることを理解しろよ❢❢」

じいちゃんが出て行った
原因が同性の恋人だったから
子供の頃は理解出来なかっただろう。

だけど、親父はもうガキじゃない。

大人になり、結婚もした。

ガキの頃よりは世間を見ているはずだ。

「貴也、説明してくれる?」

親父にムカつき過ぎて
亮の事をほったらかしだった。

「悪い亮、
親父が同性愛を嫌う理由は
じいちゃんが同性の恋人を
つくって出ていったからなんだ」

納得したらしい。

「貴也のお父さん、
あなたの気持ちも
わからないでもありません。

ですが、俺達も
真剣に愛し合っているんです」

俺は亮を。慎は雪村を。

「どうか、貴也と
付き合うことを許して下さい」

亮が親父に頭を下げた。

かなり理不尽というか
ムカつくが亮に合わせて
無言で親父に頭を下げた。

「高校を卒業したら出ていけ」

親父はそれだけ言うと
出口に向かって歩いて行った。

「高校卒業したら
追い出されるみたいだから
亮のマンションに住んでいいか?」

聞くまでもないんだけどな(笑)

「当たり前でしょ」

卒業後の住む場所が決まってよかった。

「帰ろっか」

とりあえず、会計をして
マンションに帰って来た。

¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢

夕飯後、二人で風呂に入った。

「一緒に入るのは久しぶりだね」

そういやそうだな。

亮が仕事してたり
俺が本に夢中だったりと
此処最近は別々に入っていた。

親父に遭遇した後だからか
無性に亮にくっつきたくなった。

「貴也、わざと煽ってる?」

無言で頷いた。

「亮、何時ものじゃ足りない」

「そんなこと言われると
止められなくなるけどいいんだ?」

「亮にならなにされてもいい。

親父のことを忘れさせてくれ」

とにかく、忘れたかった。

「はぁん……気持ちいい……ぁっ……」

「んんっ❢❢ 亮……奥、奥もっと……」

まだまだ足りない。

「貴也、煽らないで……」

亮の言葉は無視して
俺は自ら動いた。

目が覚めると亮が起きていた。

「おはよう、貴也」

「はよ」

カーテンの向こう側は白んでいた。

「あんなに煽るから
遠慮なしにシちゃったけど
身体は大丈夫?」

何時ものじゃ足りないと
言ったのは俺だ。

「腰が痛い(苦笑)

だけど、気持ちよかった」

何時も以上に腰は痛いが
それ以上に気持ちよかったし
充実感がある。

俺には亮がいないと
駄目だと改めて実感した。

「貴也、愛してる」

「俺も愛してる」